まず、冒頭
生きていく理由はないと思う。いかに懸命に生きても、いずれ死んでしまうのだから。他人のために尽くしても、その人も死んでしまうのだから。日本のため、世界のため、地球のために尽力しても、やがて人類も地球もなくなるのに、なぜ「いま」を生きなければならないのか。なぜ「いま」死んではならないのか。私にはどうしても分からない。
これは読もうと決めた。「正しい」ことにしていたいと考える一方、その「むなしさ」から目を背けている自分を感じているから。
なんで「いいこと」をみんなしたがるのか、「まじめな」インタビューでは慎重に性的発言を避けるのはなぜか、という素朴な疑問の数々。絶えず疑問を持ち続ける哲学者的姿勢に触発されて、頭が少しスッキリする。
「新潮45」という、雑誌での連載記事をまとめたものなので読みやすく、通勤にちょうどいい分量のエッセイ。
追伸:東京で先週から哲学塾カントを主宰されているようです。

- 狂人三歩手前
- 中島 義道
- 新潮社 2006-06-15
- 評価
- おすすめ平均

行動する哲学者、もしくは悪い男の中島先生
善良な市民という存在から遠く離れて
非常におもしろかったです!
作品集です
by G-Tools , 2008/01/25
以下、引用
・現在の知覚される世界ではなく、過去の想起される世界を探求することによってはじめて「私」は身を現わすのである。(中略)「私」が死んでいるとはいかなることか?それは、いかなる点で「私」が熟睡している時や失神しているときと区別されるのか?思うに、ただあとから「私が死んでいた」と語れなくなるという一転において区別されるだけなのだ。(「私」が無になるということ)
・人間は容易に嘘をつくものであり、いや嘘を尊ぶものであり、けっして真実が第一に尊重されなかったことは、これまでの長い人類史が示す通りであるのに。(中略)真実よりも重要なことは数限りなくある。例えば、社会の存続であり、組織の存続であり、個人の存続である。だから、国や会社や家庭や個人が存亡の危機にあるとき、人々は率先して嘘をつくのだ。
だが、同じ人があるとき夢から覚めたように嘘の告発にやっきになる。(中略)ただ一定の期間「真実ゲーム」に参加したいだけなのだ。(テロはなかったのかもしれない)
テレビでこのバージョンを見たことはなかったのですが、本を読みました。
秋雪くんが少しずつ成長するのがとても微笑ましく、またお母さんも一緒に変わっていく過程が印象に残りました。親が子を育み、子がまた親を育む。限られた時間を意識しているからこそ、愛に溢れた濃密だった毎日の記録です。

- たったひとつのたからもの
- 加藤 浩美
- 文藝春秋 2003-11-25
- 評価
- おすすめ平均

死生観を知りました
優しく見つめる親の視線
秋雪くんが残してくれたもの
CM見て涙した人居ませんか?
『命』について考えさせられる・・・
by G-Tools , 2008/01/25
ただ、何故かどこかで少し冷ややかな自分がいることも感じました。それにぞっとした。

- 世界がキューバ医療を手本にするわけ
- 吉田 太郎
- 築地書館 2007-08-10
- 評価
- おすすめ平均

医療人その2
地道な取材はやはりいいものです
差し引いて読む必要はあるが・・・
米国至上主義の方へ
by G-Tools , 2008/01/23
本当に驚きました。キューバってこんな国なんだ、こんな医療が行われている国なのかと。同時にすごく興味がわいた。行ってみたい。臨床実習を義務化した日本がまさに目指す形がここにはあるように思われました。
この国の医療は革命達成時の貧しい農民に対する医療水準改善の試みに端を発し、そして60年代の民間病院や製薬会社、相互扶助診療所などの国有化というラディカルな手法で痛みを伴いながら(当時6000人の医師のうち4000人が国外流出した)発展してきた。まず統合的ムニシピオ・ポリクリニコ(市町村総合診療所)と呼ばれる施設を母体として、包括的な地域住民に対する保健医療活動が行われる。この頃の主眼は感染症のコントロールであり、それは奏功した。一方で、医療教育は依然として病院で行われ、プライマリケアに従事する医師のモチベーションはあまり高いとはいえなかった。コミュニティの力を最大限引き出し、チーム医療がコミュニティに提供されるよう、医療関係者だけでなくソーシャルワーカーやごみ収集員なども含めたヘルスチームが編成され、住民の健康改善のために働き出した。しかしながら専門化の進んだ現代医療を前提とすると、なかなか包括的医療を提供できない状況が生まれた。医者は予防に力を注ぐよりは、受身に病気がやってくるのを待った。
その状況への反省から、プライマリケアの担い手であるファミリードクターの強化を目指し、新しいプログラムが立ち上がる。ファミリードクターの役割とは、120世帯、700〜800人と顔のみえる関係を築き、健康状態をモニタリングする。勿論何から何までというわけにはいかないので、内科医、小児科医、眼科医、心理学者、ソーシャルワーカー、統計専門家など10〜12の地区医院を単位にベーシックワークグループを組織して、活動している。現在は、キューバの医療はファミリードクターを軸に行われ、05年には7万強の医師のうち、3.4万程度がファミリードクターとして、ほぼ同数の看護師とともに全国民をカバーしている。医大を卒業した医学生は、全員が2年間、ファミリードクターのもとで研鑽を積み、特定の専門に入るのはそれから。
医学部のカリキュラムも20%弱をコミュニティで過ごす形になっており、指導者も全て現場の第一線で働いている現役医師にした。サトウキビなどを使った独自ワクチンの開発や、地震などの自然災害が生じた際に駆けつける医療者の規模・質ともに素晴らしい。
奥深いなー、この国。いってみたいなー。

- 不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション
- ドキュメンタリー映画 アル・ゴア デイビス・グッゲンハイム
- パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2007-07-06
- 売り上げランキング : 284
- 評価
- おすすめ平均

アル・ゴアのカッコいいプレゼンテーション
今、日本人がやるべきこと
アメリカに残された良心か
もっと広めてほしい
史上最大のドキュメンタリー
by G-Tools , 2008/01/21
『an inconvenient truth(不都合な真実)』 デイビス・グッゲンハイム監督、アル・ゴア出演
今更紹介する必要のない、アル・ゴアが全世界で行った地球温暖化への警鐘を鳴らすレクチャーを映画化した作品。
「CO2排出控えてよ、地球温暖化って大変なことなんだよ!」「何で?」
というやりとりの後にいう知恵を少し授けてもらえる。
それにしてもプレゼンテーションには舌を巻いた。key noteで作成された印象的なスライドたちをありありと思い出すことができる。あんなプレゼン人生に一度でいいから作ってみたい。技術じゃなくて、Passionが大事なんだろうけど。
・ http://climatecrisis.org/
・ Take action(日本語)
・ "不都合な真実に学ぶプレゼン術"日経PC
・ "Nobel Prize Acceptance Speech" @ Al's journal
The great Norwegian playwright, Henrik Ibsen, wrote, “One of these days, the younger generation will come knocking at my door.”
The future is knocking at our door right now. Make no mistake, the next generation will ask us one of two questions. Either they will ask: “What were you thinking; why didn’t you act?”
Or they will ask instead: “How did you find the moral courage to rise and successfully resolve a crisis that so many said was impossible to solve?”


「reign over me (再会の街で)」 (出演:ドン・チードル、アダム・サンドラー)
惨事というのは、被害に当事者あるいはそれを引き起こした人たちだけに留まることはないのが普通だと思う。9.11の飛行機事故で家族を失い、その家族を記憶の淵に封じ込めようともがき、それでも尚家族との思い出、自責の念に捉われ続ける男と、その男を支えよう社会復帰させよう取り組む中で、社会が強いる不自由から自分を解放していく男の話。
この「捉われている」こと、自分を支配しているものを相対化していくプロセスがこの映画の醍醐味だろうと思うので、原題「Reign over me」を生かした邦題の方が納得感があったのではないかと思いました。
前もって知識なくいきなり見て、よい映画で、嬉しかったです。そう、いい映画でした。

- 結婚と家族―新しい関係に向けて (岩波新書)
- 福島 瑞穂
- 岩波書店 1992-01
- おすすめ平均

男が見過ごす問題点を教えてくれた本です
総論賛成ですが…3.5点
事実婚に対する理解はできたけど・・・
by G-Tools , 2008/01/15
・夫婦同姓の強制 (夫婦別姓)
→民法750条 「夫又は妻の氏を称する。」
→夫が変えてもいい。それでもなお、何故僕らはダンナの名前に変わることを前提にしてるんだろう。

- 日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
- 網野 善彦
- 筑摩書房 2005-07-06
- 評価
- おすすめ平均

面白く思索の糧になるが、批判的に読むことも必要
日本の、特に中世の歴史への見方が深まる一冊
網野史学の入門書
未来への提言に向けて「よみなおす」
歴史を学ぶ楽しさ
by G-Tools , 2008/01/10
日本人である自分が、どんだけ日本人についての「ステレオタイプ」に支配されているかを知り、その固定観念がドンドン崩れていくのを感じるのは純粋に楽しい。みんなそうなんではない?この本は講演録なのでヒジョーに読みやすく、かつ面白い本。ただ自分は歴史にあまりに疎すぎて、そもそも何が通説で、著者の歴史観はどの程度そこから乖離があって、どんだけ素直に読んでいいものか分からないです。が、そんなことは気にせず、単純に読み物として、頭の体操として、固定観念を固定観念だと客観視する手がかりとして読めばよいと思う。加えて歴史学者って僕らが見たら読めないしゴミみたいな古い文献に向き合いながら、こうやって思考するんかなーというのを追体験できるのもよい。
簡潔に言うと、「日本は本当に農業社会なのか」、「何故穢多・非人(エタ・ヒニン)は生まれたのか」、「古代日本は本当に男性優位社会であったのか」、「お百姓=農民なのか、水呑百姓は本当に貧しいのか」、といった点について、これまで考えられてきたこと、教えられてきたことに疑問を掲げ、それを様々な歴史的資料を手がかりに論証していく作業が書かれています。
この本を足がかりに、網野善彦氏の著作を読んで、宮崎駿作品を見るとまた違った楽しみ方が出来るようでーす☆
市場の一番目立つ建物センタービルの中には解体のプロセスや作業に関わる人への差別に関する資料などを展示した「お肉の情報館」なるスペースがあり、実際見せてもらうことが出来ない解体の流れを、ビデオ上映してくれます。(要予約)
上の本で、プロセスは予習済みだったのですが、やはり放血は本では伝わらないすさまじい迫力。一気にドバッ!っと。血を抜くのは美味しい肉を作るのには欠かせない。本当に考え抜かれた解体プロセスで、シューターに内臓を入れると、下の階でそれをチェックする人がいたりとか、なんか迷路みたい。大都会東京の胃袋を支えるラインにふさわしく、合理的にことは進んでいく。牛は一日400頭、豚は1000頭(H17年.「19年度版食肉市場のしおり」)ほどが「と畜」される。牛は一頭当たり50分ほど、豚は一頭当たり25分。ちなみに一般的な「屠殺」ができる家畜の解体作業に関する施設基準などを定めた法律は「と畜場法」で、オフィシャルには、この施設は「と畜場」と呼ばれる。
芝浦と場はS11年に都内に散在していた業者が品川に集まり開場し、その後東京都直営の市場となり、食肉需要の拡大に合わせて、ラインの拡大・合理化を順次進めてきた。外から見えるところはとてもキレイで、匂いもあまりない。搬入事業者のトラックなどもキレイに掃除してからでないと外に出られないルールだそうで、周囲の環境との調和には気を使っているそう。
芝浦と場のウリは、作業効率と衛生管理だそうで、確かにビデオでも一頭毎に83℃以上の熱湯で器具を消毒したり、繰り返し検査が行われていることが強調されていました。そして当然BSEの綿密な対策、全頭検査が施され、危険部位の詳細な検査でOKが出るまで肉が市場外に出ることはない。問題があったら即回収できるように、全ての部位が個体管理されていて、育てた農場までのトレーサビリティが確保されています。
正直な話、そこまでやらんといかんのか?と思うけれど、「食の安全」をネタにマスコミが大キャンペーンを張るので、いたしかたない時代なのかも。
他にも、皮なめしの話とか、同和問題のこととか、肉の等級とか面白いこと色々あったんだけど、長くなったのでまた今度。あと資料館の関連図書に「世界屠畜紀行」がないのは残念やねー。あんな影響力ある本ないゾ。
東京都の中学生だと思うけど、親子で実際のラインの見学とかしてるらしく、とっても羨ましい。他のと場でなら見れるのか?やっぱ生で見たいなぁ。



