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jotting of daily misc
空回り?道義を説く。(「虞美人草」) この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/23(Thu) 16:45  [permlink]
虞美人草
虞美人草夏目 漱石

おすすめ平均
stars登場人物が面白い
stars華麗な文体の傑作
starsここから始まった
stars登場人物の会話のやり取りが素晴らしい
stars目立たない名作。

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文庫がなかったので、岩波の全集で読む。


「美辞麗句の洪水」と評されていたが、漢文調の情景描写が連続するので読みにくし。会話だけ追えば勿論ストーリーはわかるけれども、それでは一面的な理解にすぎず、深くこの物語の世界に引き込まれたかというとそうでもない。登場人物は根っから悪い人、根っから善い人が判然としすぎていて、こんなに人間って一面的な存在か?という疑問もわく。その意味でも「こころ」の完成度には遠く及ばないと感じた。

朝日新聞に入社して初めての連載で、肩に力が入っていたのもあろう。全国区の新聞紙上での連載であるから、京都、東京と舞台をうつしたり、大森に行くくだりでは他紙の連載に対する気持ちがあったろうと解説がついていた。えらそうな話だが、漱石も人の子だなと。当時既に売れっ子作家であった漱石が、商業主義にやや振り回されて、また初めての連載で否応無に肩に力がはいってしまった作品なのでしょう。後年、この作品を漱石は一番嫌ったとのこと。

言いたいことは、最後の欽吾の「哲学」に込められている。(青空文庫)死は生を忽然と転換する。そこで人は道義を意識せざるをえない。作品を通じて漱石が主張したいものは、自由を享受するために蹂躙されている、道義の観念である。
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ネットで起きている変化の本質 この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/22(Wed) 18:06  [permlink]
明治の本ばっかり読んでても、現代は生きていけないので、読む。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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梅田さんのCNETの連載を読んで、僕はインターネットに魅了された。ていうより”ハマッた”という感じ。毎日毎晩3時ぐらいまでずっとPCにかじりついてた時期があった。彼に僕は”あちら側”のルールを紹介してもらった。

それ以来僕のネット思想はあちら側に染められてしまい、最近のweb2.0についての考察もある意味で「分かってること」を改めて「定義する」わずらわしさがあった。だから、この本は、既にその洗礼を受けている人間にとっては、特段目新しいこともなく、さくっと読んでそりゃそうだといえる。しかし、体系だって本の形になるのはやはり読みやすい。ネットに興味なさそうな人に手当たり次第に「いいから読め」と薦めてしまった。人間は瑣末なことには色々注意・関心が行くが、本当にスケールの大きな大問題には無関心であるそうな。まさに現在進行形の革命に目を見開かされせてくれるこの本は絶賛に値する。これが3時間で読めるのだから読んだ方がいい。

本文でも紹介されている03年11月の「オープンソース的コラボレーションが社会を変える」は僕も強烈な印象が残っている。(原文)個人の知の有機的な結合を可能にするテクノロジーの出現によって、まさに”something”が形成される過程を代弁するプロジェクトであり、人間の可能性に対して前向きな気持ちを全開にさせてくれる企画である。

あとがきにもあるが、そのような可能性について出来る限り楽観的にインターネットを捉えている。映画「クラッシュ」にも指摘されたような、知らないものに対する嫌悪感・不寛容をネットを毛嫌いするおじさん達にも是非乗り越えて頂きたいものである。


・参考 日経Express


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ぶつかりあってはじめて分かる。 この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/21(Tue) 17:14  [permlink]
クラッシュを観る。


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アカデミー賞受賞のとき、報道では「アメリカに根強くある人種差別を描いた映画だ」って言ってた気がする。テーマについては、観た直後はアメリカって複雑な環境抱えてるなー、とかそんな印象。それよりも複雑な構成が見事で、映画の作り方の方に、ひさびさに映画らしい映画を観た。映画としての完成度が極めて高い作品だった。”作品”を作り上げたプロ意識が心地よかった。

ただ、主題について考えれば考えるほど、別に人種問題でなくてもいいことに気付く。プロダクションノートにもあるが、
この映画のテーマは人種や階級についてではなく、見知らぬ人間への恐怖についてであるからだ。これは不寛容と思いやりのなさについてであり、人が選択したことと、そのことによって支払うべき代償についての映画だ。


ということである。未知のもの、自分とは異なるものは怖い。理解しようと踏み込むよりは、拒絶し、線を引き、関わらないように生きていく。そのことを乗り越えるには、傷ついてもぶつかりあうことが不可欠であることを伝える映画だから、別に僕らにも演繹できるメッセージになる。

この映画で印象的な言葉は、"dignity"と"I love you"である。偏見や恐怖心を乗り越え、人間としての互いの尊厳を素直に直視した結果のAnthonyのニヤリだっただろう。人間は神の前で平等である、君も僕もまた同じように弱い人間だ、だからあなたを愛するのだという認識があってこそのcameronの"I love you"だったと思う。
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個人主義の結末 この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/15(Wed) 16:23  [permlink]
こころ
こころ夏目 漱石

おすすめ平均
stars漱石最高傑作!
stars最高の小説だと思います。
stars岐路
stars近代人の「淋しさ」
stars読んだときは16歳

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『私の個人主義』でも、少し触れられているとおり、近代化が推し進めた個人主義によって、近代人は国家から、家から切り離されて孤独になった。愛と金にエゴを増幅させられた近代人の宿命を描いている。

この本を読むのは三度目?でも今回は全然違う作品に思えた。当時の漱石の講演を理解した上で読むのと、そうでないのとではメッセージに対する感受性に大きな差があると感じた。読者が文脈を解する十分な準備運動をすることで、すばらしい文学はどんどんその深さを増していく形でその努力に応えてくれる。他の作家さんについても同じ体験ができると人生豊かになるだろうな。


現代は、ここからさらに個人主義を進めた地点にいる。女性も家や家長の束縛を断ち、子供も同じ、親に対して個人の自由を主張する時代である。当然この孤独感に拍車がかかる。ただ日本人のムラ意識は長い年月をかけてこの日本の風土に合った形で醸成された気質であろうから、そう簡単に転換できるべくもない。社会生活の様々な局面でこのムラ意識を目にする。せっせと個人主義を輸入したものの、元来その方が居心地がいい。

この分断された個人と潜在的なムラ意識と最近の通信技術の進歩はすこぶる相性がよいと思う。テクノロジーは現代人の孤独を救えるか。





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ミュンヘン。 この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/14(Tue) 14:23  [permlink]
Munich
ミュンヘンを観る。

民族、宗教、戦後政策。色んなものがこんがらがって、ここももうにっちもさっちもいかない。本当に根が深い。
「殺しても、殺しても、もっとひどいのが出てくる。」不毛な無限ループ。
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ルワンダの悲劇とスーダン この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/13(Mon) 20:24  [permlink]
机の上に整然と並べられた真っ白でつるつると光る頭蓋骨。小さな部屋いっぱいにあった大小の頭蓋骨はざっと百はあった。ジェノサイドの記憶を留めるべくキガリ郊外の教会にはこの他にも多くの白骨死体が無造作に置かれている。色んな頭蓋骨を一度に見る機会はあまりないので、「色んなサイズがあるなあ、これ子供のね」と思ったのと、転がってる骨を見て「こんなことまでやれるのか」と人間の暗部を覗き見た気がしてぞっとした。

おそらく僕がここで見たことからは想像もつかないような悲惨な地獄が現実にあったんだろう。この映画、ホテル・ルワンダでもその本当に悲惨な見るに耐えない部分は当然排除されている。
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ポールが家族を心から大切にしているはいずれの場面からもよく伝わってくる。そんな彼が最愛の妻を屋上に連れ出して「民兵がホテルを襲ったら、子供を連れてここから飛び降りて欲しい。ナタで殺されるよりはましだ。」という場面がこの極限状態を一番切実に訴える場面だったと思う。ここが印象的だった。

君たちもまた間接的な加害者だと国際社会の無関心を断罪するのもまたこの映画のテーマである。同じ過ちをスーダンで繰り返さないことが重要なはずだ。関連情報はこのwikiにまとまっている。日本のユニセフも緊急支援を呼びかけている。



cf.ホテル・ルワンダ日本公開を応援する会





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「私の個人主義」について この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/10(Fri) 01:29  [permlink]
『私の個人主義』(PDF/青空文庫)は漱石が胃潰瘍で亡くなる二年前の1914年、「こころ」の連載を終えた直後に、学習院で行った講演である。学習院は皇族が通っている学校で現在も無論格式高い学校だが、況や戦前のこと、名門中の名門の家柄の子女、即ち社会に出れば十分な権力と金を手にすることのできる立場の人々に向けてのものだった。前半は漱石の個人的な体験を踏まえ、悩み抜いた末、どのように文学者としての自己本位の立場を確立することができたかという話から、後半は権力者の卵である学生達に向けて、彼の期待するあるべきふるまいを述べている。
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「文芸と道徳」について この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/09(Thu) 23:15  [permlink]
「文芸と道徳」の大意は以下。

江戸時代の道徳とは、完全な模範を立て、努力次第でこの模範が実現可能であるという立場から出発しているため、結果向上心に富んだ気風を育て、個人に対する一般倫理上の要求は過酷なものとなり、過失に対しては非常に厳格であるためすぐ切腹という話になる。科学の発達に伴い、批判的精神が芽生え、人間とは全く不完全なものでしかないという事実に気付いたことや、階級社会の崩壊、交通機関の発達によって模範的な人間は一気に偶像視され、事実を土台に新たな道徳観が出来上がったのが維新後の道徳である。倫理観の程度は下がり、住みよい世の中になった。

道徳と交渉のある文芸において、浪漫主義的文学と自然主義的文学はこれらの二傾向の道徳を反射している。前者は人の特性を刺激して読者を動かそうとするため、この点において道義的かつ芸術的であるが、動機が不純であり、意図が厭味となる。逆に自然派は、善悪と共に感激性の素因に乏しい点は非芸術的だが、厭味に陥ることは少ない。

この二大区別に立って、今後の道徳の発展について語るとすれば「ロマンチックの道徳は古い」と言わざるをえない。何故なら人間の知識がそれだけ進んだからである。昔の道徳、すなわち忠とか、孝とか、貞とかいうのは、当時の社会制度にあって絶対の権利を有していた片方にのみ都合がよく、個人主義の時代にはそぐわない。しかし、ナチュラリスチックの道徳は自由を重んじすぎるあまり、本来人間は自己本位であるからして、個人が自由の悦楽を得る一方で、社会の一員としては常に不安である。総括すれば、実現できる程度の理想を描いて、未来の隣人同胞との調和を求め、また従来の弱点を寛容する同情心を持して現在の個人に対する接触面の融合剤とするような心掛けが今後の日本人には大切だろう。


この評論、漱石の十八番だったそうだが、はっとさせられる洞察だと思う。個人より一回り大きな兄弟や家族といった社会生活の単位だけでも、最低限磐石に成り立たせることができるというところにまずは道徳の教育目標はリセットしてもいいかもしれない。でないと本当に誰も信用できないくらい世の中になる気がして怖い。
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「道楽と職業」について この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/06(Mon) 18:09  [permlink]
『私の個人主義』を読む。

夏目漱石の講演録で、明治44年(1911年)の朝日新聞主催、関西での四講演と、その三年後の大正三年(1914年)に学習院で行った「私の個人主義」を収録。


私の個人主義
私の個人主義夏目 漱石

おすすめ平均
stars明治44年(1911年)-大正3年(1914年)発表
stars先見の明と呼ぶにはあまりに鮮烈、一言で言えばお見事
stars人間を、時代を、見抜いた傑作
stars一生の座右の銘です
starsライヴのような臨場感

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能登のまかない この記事をはてなブックマークに登録
2006/03/05(Sun) 16:45  [permlink]
なかなかの偶然で驚いた。


10歳の頃、僕は金沢に住んでいた。能登半島、石川県の町。兼六園の日本最古の噴水の由来とか、一番おすすめのコースを訪ねてきた親戚に説明するのが得意技だった。

この金沢の生活で出会い、家族が転勤で各地を転々としてもずっと親しくしているのが、とり野菜みそである。特に親父は懇意にしてる。




簡単でうまい。ほんとに。
先月注文して、今日もたらふく食べたら、日経の夕刊第七面に「食を歩く 能登の「とり野菜」」として紹介されてる。おおー。そうそう、もともと廻船問屋が船乗りのまかないとして、栄養価も高く、簡単で、温まれる料理を、という趣旨で考案されたのがルーツ。注文すると全国どこでもすぐ届く。もうそろそろ春だけれど、冬の鍋を満喫したりない人には自信を持っておすすめできる。
Food and Drink | CM:2 | TB:1| edit